選手会が2つに割れた・競輪界を震撼させたクーデターの顛末

2013年12月に競輪業界を震撼させた選手会分裂騒動の詳細と既存選手会の問題点を解説しています。結果的に騒動を起こした選手が処分されて元の選手会に戻ったことで収束しています。その後は競輪の売上が増加を続けていることから不満を持つ選手が少なくなったようです。

選手会分裂騒動

競輪の練習場

競輪には一般社団法人日本競輪選手会が存在し、全ての選手が在籍をしています。
選手は全国37ある支部に在籍し、無所属の場合は競走の斡旋をJKAから拒否される仕組みなので、選手会への加入は必須条件です。
そんな競輪選手会ですが、2013年12月19日に競輪界のトップ選手23人が選手会を脱退し、新選手会「SS11」へ移籍するクーデター騒動が起こって話題になりました。

選手会の役割とは

選手会は選手たちによって結成されていて、理事や役員は引退した選手が事務業に専念しているケースもあります。
選手会は競輪選手が健全な仕事として競輪を続けられるように、選手側の立場に立って賞金や待遇の交渉を施行者(JKA)側と行うこともあれば、競輪をクリーンな競技として秩序を保つために、選手会独自に出場自粛要請を出すこともあります。
一部では選手会とJKAによる2重処分が下るケースもあり、選手にとっては味方ではなく脅威の存在として捉えている方もいるようです。

上納金がクーデターの理由

上納金のお金

選手会に所属する競輪選手は、賞金の1割と1レース出走につき一律1万5千円の上納金を選手会本部に支払う決まりになっています。
1万5千円の定額費用のうち、7,500円は退職金。残りは年金および共済金に充てられていましたが、長引く競輪業界の売上低迷によって年金は支払い停止、退職金は大幅カットによる破綻状態になっていました。

自分に返ってくる金額はごく一部で、トップ選手は相応の賞金を選手会に支払っていたため、強制かつ高額な上納金制度を変えることが新団体を設立した理由です。
おそらく上納金だけの話ではなく、独占状態にある選手会で理事への報酬や、施行者よりも重い選手会側の処分などへの不満も募っていたのでしょう。

わずか1ヶ月で撤回によって収束

選手会が分裂すると、新しい選手会(SS11)への移籍希望選手は約70名ほど現れました。
一部ではすぐに移籍手続きを進めた選手もいましたが、既存の選手会が脱退選手に対して年末に行われるKEIRINグランプリに出走させない強硬姿勢を示しました。

新選手会の設立メンバーのうち9名はKEIRINグランプリへの出走予定だったことから選手達は困惑。
結果的に9名中5名は脱退した選手会に謝罪してKEIRINグランプリに出走するなど、早くも新選手会は統率が取れない状況になります。

そして年が明けた2014年1月20日に、クーデターを起こした全選手が既存の選手会側へ謝罪をして事態は収束したのが選手会分裂騒動一連の流れです。
新選手会を設立した選手は、加担への責任割合に応じて6ヶ月~1年の出場自粛処分が下されています。(24選手中18選手はその後3ヶ月の出場自粛に短縮)

選手会のその後

分裂騒動は、クーデターを起こした選手に処分を下す形で収束しましたが、その後根本的なシステム・上納金を変更することはなく現状維持で運営を続けています。
現在も高額な上納金に不満を持っている選手がいる可能性は高いですが、そもそも選手会分裂騒動が起こった要因は、売上低迷によって年金・退職金が破綻していたことです。

競輪は2014年から2018年まで5年連続で売上が増加しているため、仕組みが変わっていなくても選手の環境は改善されています。
売上が好調なうちは再び選手会分裂騒動が起こることはないでしょう。