狭き門を突破した猛者たち「競輪選手」の年収や選手生命について

年収や平均の選手生命 (引退時期)、必要資格など、競輪選手について詳しく解説しています。日本競輪学校に合格する基準や募集人数拡大の可能性など、業界人だから分かる有益な情報が盛り沢山です。車券の売上が増加しているので将来性は明るいです。

競輪選手について

雨の中レースを走る競輪選手

競輪選手になるためには、静岡県伊豆市(旧修善寺町)にある日本競輪学校に入学し、1年の厳しい訓練を経て競輪選手資格検定に合格する必要があります。
専門の学校に入学して訓練を受けた後に国家試験を受ける流れは他の公営ギャンブルと同じです。
単純なプロスポーツ選手であれば、アマチュアで結果を残して即プロデビューすることも可能です。

競輪は公営ギャンブルになり自分の勝敗によって多くのお金が動きます。
そのため、トラック競技の国体チャンピオンなど輝かしい肩書きがあったとしても必ず1年間は競輪学校で訓練を受ける必要があり、自転車の訓練のほかに公営競技の選手になるための座学なども行われています。

選手の平均年収は約1,000万円で、ランクが低い選手でも、違反やケガをせずに年間を通じて出走を続けていれば会社員と同等以上の所得を確保できます。

競輪学校の入学試験

競輪学校は公営競技の選手になるための学校の中で、唯一体重制限がありません。
上限年齢も撤廃されているので、入り口は非常に広いです。
募集人数が少ない中で倍率は毎年2~3倍程度で、公営競技の選手に繋がる学校の試験では倍率ももっとも低いです。
競輪は、脚力を中心にした体力で勝負する競技なので、体力に自信を持った猛者しか集まりません。
つまり、倍率は低くても他の公営競技以上にライバル(他の受験者)が手強いです。

レース場に置かれたハードル

試験は経験者と未経験者に分けて行われ、自転車競技未経験でも体力やポテンシャルが高ければ競輪選手になることが可能です。
昨今はプロ野球のトライアウト会場に競輪選手の募集ブースを用意するなど積極的な広報活動を行われ、野球やサッカーのプロ選手や陸上競技をやっていた人が競輪選手に転身する事例が多数あります。

経験者の場合は自転車を使ったタイムアタック、未経験者は垂直跳びの跳躍高と、背筋力計による背筋力による体力測定が行われます。
なお、公営競技の選手を目指す学校なので、どれだけ優れた実績や身体能力を持っていても、前科があるなど一定の基準を満たしていないと受験できません。

競輪選手になるハードル

私は自転車競技の経験者から競輪選手になりました。
過去の実績は個人特定に繋がるので伏せますが、私の学生時代の後輩は高校のトラック競技関東大会で優勝しても競輪選手になれませんでした。
経験者の場合はインターハイや国体など全国規模の大会で好成績を残していないと難しいです。

未経験者の場合も、それぞれの競技で全国区の選手や元プロのレベルでないと難しいでしょう。
私は高校時代に学校全体のマラソン大会で陸上部の長距離選手を抑えて1位になりました。
学校や町など狭い世界の中で1番程度では合格できる見込みが非常に低いです。

募集人数拡大の可能性

2019年度の日本競輪学校募集試験は年に1回で募集人数は70名ほどです。
これまで年に1回から2回の範囲で試験回数が何度も変更されてきた歴史があります。
2010年までは年に2回のペースで合計150名前後の募集をしていましたが、2011年の東日本大震災以降は再び年に1回のペースに縮小しました。
2014年以降は車券の売上も増加傾向にありますので、もしかしたらこの先数年で再び年2回の試験に拡大するかもしれません。

競輪選手の年収

競輪選手の手にするお金と通帳

KEIRIN.JPの資料で2018年は全選手2,330人の平均取得額は9,893,263円でした。
かつては平均1,200~1,300万円ほどでしたが、2011年の東日本大震災の影響から収益拠出額を増加させる方針を取り、一時期は888万円まで低下しました。
近年は再び年収が増加傾向に転じています。
ランクごとの平均年収は以下の通りです。

  • S級S班 約1億円
  • S級1班 約2,100万円
  • S級2班 約1,250万円
  • A級1班 約850万円
  • A級2班 約700万円
  • A級2班 約700万円
  • A級3班 約600万円
  • L級1班(女子) 約700万円

当然ですがトップ選手と下位選手で大きな格差があります。トップのS級S班は9名しか在籍できず、トップ選手のみが出場できる年末のKEIRINグランプリは約1億円の賞金が出ます。

例年、賞金王になるのはKEIRINグランプリの勝者で年間獲得賞金は2億円前後、全体で1億円を超えるのは毎年1~3名程度です。

競輪選手の引退時期

平均的な引退時期は45歳前後ですが、過去には60歳を超えて現役を続ける選手もいて、50代での現役は決して珍しいものではありません。
筋肉量のピークは20代から30代がピークになりますが、競輪は体力だけではなく、レース中の駆け引きなど経験を活かした戦術が重要です。
2011年には山口幸二が当時43歳でKEIRINグランプリを制した事例もありますが、例年賞金王になるのは25~35歳の選手で、体力と経験を兼ね備えた30歳前後がピークになります。

競輪やオートレースのようなハンデ戦はないですが、トップ選手でなくても番組編成によって勝てるチャンスがあるレースが一定数出てくるため、長く現役を続けることが可能です。