自らの勝利のためだけじゃない競輪ならではの戦法や脚質について解説

競輪の戦法は逃げ、先行、捲りなど先頭に立つタイミングで変わる脚質や、他の選手の力やラインを活用したものがあります。基本的には強い選手の後ろに付くのが一番有利なので、レース中は激しいポジション争いや選手同士の駆け引きが行われています。

戦法

競輪で勝つための戦法

競輪の主要な戦法は逃げ、マクリなど脚質によるものですが、競輪ならではの細かい戦法や戦術が他にも多数あります。
空気抵抗を如何に軽減するかが重要な競輪では、自分の力だけではなく他の選手の力を活用することが多いのが特徴です。

主要な戦法と脚質

逃げ 打鐘前後(ラスト1周半)から先頭を走ってそのまま逃げ切る、空気抵抗を全て受けるので相当の力差がないと勝ちきれない。
かまし先行 レース序盤は中盤以降に待機し、打鐘前後から一気にスパートしていきなり先頭になってそのまま逃げる(先頭がペースを上げる前に一気に抜く)
抑え先行 後方から自分より前にいる他のラインの先行タイプの選手の所まで上がってきて抑え、ゴールまで逃げ切れそうなタイミングで駆け出す。
つっぱり先行 逃げている中で外側のラインから仕掛けが入ったタイミングで再スパートをかけて内側の優位を活かして外側ラインを抑えて逃げ切る。
まくり ラスト1周の1コーナー以降で一気にスパートして抜き出す。
番手まくり 逃げた選手の番手から捲くること。
差し 決勝線到達寸前で前の選手を抜くこと。

競輪選手のタイプ(脚質)と他の選手の利用

脚のストレッチをする競輪選手

競輪選手は大きく分けて

  • 長い距離をスピード落とさずに走るのが得意な地脚タイプ
  • トップスピードに持って行くまでの加速力やトップスピードが速いスプリンタータイプ

の2種類に分類されます。
逃げや先行ができるのは地脚タイプ、差しや番手まくりはスプリンタータイプが得意にしています。
このほかにも、他の選手の力を利用したり相手の出方によって臨機応変に対応する細かい戦法が多数存在します。

代表的な戦法をご覧ください。

追い込み ラインを組んでいる前の選手を直線で抜くこと。
捲り追い込み 最終4コーナーあたりから仕掛ける追い込みをかけること。
マーク 直前まで相手の後ろにはりついてゴール前で抜くこと。
切り替え 先行や逃げをしている中で後続に抜かれ、抜いた選手の後ろにつく戦法。もしくは逃げた選手を捲くりにいった選手の後ろにいたが抜けないので逃げた選手の方につくこと。
イン待ち 打鐘前まで1番先頭で走り、自分では逃げずに飛び出す選手を待って自分がその選手の後ろに単独で付くこと。
イン待ち粘り イン待ちをして、その後の逃げ選手の後ろのポジション争いを他の選手と繰り広げた結果、目的のポジションを掴むこと。
競り ある一定の選手の後ろを2車又は3車並走して位置を奪い合うこと。基本的にイン側選手が有利。

ラインに関連した戦法

競輪は単独で動くよりも複数の選手とラインを組むことによって有利に進められます。
実際の所は単独走行を取るとラインを組んだ他のグループに対抗できないため、選手はラインを組まざる得ない状況になります。
ラインを組む中で、先頭の選手がラインのコントロールをするとともに、そのラインの2番手以降を走る番手選手は、幅広い戦法で他のラインに対抗しています。
ラインに関連した戦法を紹介します。なお競輪におけるラインの基本はコチラのページで解説しています。

ブロック 後方から追い上げてくる選手を番手選手がブロックすること。
先頭との車間 車間をあけることでラインの中での2人が空気抵抗を受けるデメリットを受けつつ、後続選手が先頭を抜かすまでの距離を増やすこと。
競り合う 強い選手の後ろに付き、その選手の力を利用すること。すでに完成しているラインの番手に割り込む行為も含みます。
切り替え レース状況に応じて隊列に入るラインを切り替えること。

競輪選手はレース前に複数の選手と共謀してラインの組み方を決めることはありません。
しかし、同郷や同じ支部など普段から一緒に入る選手はお互いの癖や実力、得意分野を把握しているのでラインを組んで協調しやすく、必然的に関係が近い同士の選手でラインを組むものです。
強い絆で結ばれている中でも、切り替えをしたら裏切りになるといったことはありません。

なかには一部の選手が自分は勝たなくてもいいという思いで先行や番手の役割を受けることもあります。
これは選手の価値観によって、強い相手の場合は勝つのは難しいけど戦術によって上位入賞できればいいと思っているからです。

重賞の予選になると1位と2位で大きな差ができるので、全選手が1着を狙いにいきます。
選手がどのような思いでラインを組んだり、同じラインの選手と協調しているのかを理解すると競輪予想の精度がより高くなります。